開発ガイド Microsoft Visual C++ 2026

1.1 JV-Linkを使ったプログラミング(イベント取得)

具体的な例を示すことによって、JV-Linkを使ってイベントを取得する方法について解説していきたいと思います。ここではVisual C++ 2026を例に順を追ってプログラミング方法を説明していきます。JV-Linkのインターフェースの詳細については触れませんので、インターフェースの詳細については「JV-Linkインターフェース仕様書」を参照して下さい。

1.1.1 プログラミングのゴール

ここではJV-Linkを使ってイベントを取得して表示する簡単なプログラム(Sample2)を作成します。

このプログラムはボタンが1つとテキストボックスが1つのシンプルな画面を持っています。「設定」ボタンを押すとJV-LinkのJVSetUIPropertiesインターフェースを使ってJV-Linkの各種設定を行なうことができます。イベントが発生すると、その内容がテキストボックスに表示されます。

イベント取得で、JV-Link、サーバー間で行なわれる処理は以下のようになります。

1.1.2 プロジェクトの作成

Visual Studio 2026を起動し、「コードなしで続行(W)」リンクをクリックする。
メニューバーのファイル(F)→新規作成(N)→プロジェクト/ソリューション(P) …を選択します。

次に「新しいプロジェクトの作成」ダイアログで以下のように設定し、「次へ(N)」ボタンをクリックします。

項目 設定内容
プロジェクトの種類 「C++」-「Windows」-「コンソール」を選択
テンプレート 「CLR空のプロジェクト(.NET Framework)」を選択

※ 「MFCアプリケーション」-「ダイアログベース」でプロジェクトを作成すると、JV-Linkのイベントを取得できませんので、ご注意ください。

次に「新しいプロジェクトを構成します」ダイアログで以下のように設定し、「作成(C)」ボタンをクリックします。

項目 設定内容
プロジェクト名 Sample2
場所 自由に保存場所を設定してください

新しいプロジェクトが作成され下の画面になります。

次に、フォームアプリケーションのフォームを作成します。
メニューバーのプロジェクト(P)→新しい項目の追加(W)…を選択してください。

次に「新しい項目の追加」ダイアログで以下のように設定し追加(A)ボタンをクリックします。

項目 設定内容
左側のリスト 「Visual C++」-「UI」を選択
中間の項目 「Windows フォーム」を選択
名前 sample2Form.h
場所 自由に保存場所を設定してください

ソリューションエクスプローラーからsample2Form.hをダブルクリックします。

次のようなフォームデザイン画面が表示されます。

次にエントリポイントの定義を行います。
フォームと同様に、「新しい項目の追加」ダイアログで以下のように設定し
追加(A)ボタンをクリックします。

項目 設定内容
左側のリスト 「Visual C++」を選択
中間の項目 「C++ファイル(.cpp)」を選択
名前 sample2.cpp
場所 自由に保存場所を設定してください

新しいソースファイルが作成され下のような画面になります。

表示されたエディタに対して、以下のコードを記載します。

#include "sample2Form.h" // Form名.h

using namespace System;
using namespace System::Windows::Forms;

[STAThreadAttribute]
int main(array<String^>^ args) {
 Application::EnableVisualStyles();
 Application::SetCompatibleTextRenderingDefault(false);
 // gcnewプロジェクト名:: Form名()
 Application::Run(gcnew Sample2::sample2Form());
 return 0;
}

次に、メニューバーのプロジェクト(P)→プロパティ(P)…を選択してください。

表示されたプロパティページから、以下の値を設定します。

項目 設定内容
構成プロパティ-リンカー-システム-サブシステム Windows (/SUBSYSTEM:WINDOWS)
構成プロパティ-リンカー-詳細設定-エントリポイント main

1.1.3 JVLinkコントロールの追加

フォームデザインを作成したら、この開発環境(Visual Studio 2026)でJV-Linkを使用できるように設定を行なう必要があります。
メニューバーのツール(T)→ツールボックス アイテムの選択(X)…を選択します。

ツールボックス アイテムの選択ダイアログのCOMコンポーネントタブの中から
JVLink Classにチェックを付け、OKボタンをクリックします。

これによりツールボックスにJVLinkコントロールが追加されます。

1.1.4 フォームの作成

下図のようにフォームにボタンとテキストボックス、およびJVLinkコントロールを貼り付け
各プロパティを設定します。

コントロール プロパティ 選択/設定
ButtonNamebutton1
Text"設定"
TextBoxNamem_strOut
Text空白
ScrollBarsBoth
MultilineTrue
WordwrapFalse
Font固定幅フォントの方が見やすいでしょう
JVLink ClassNamem_jvlink1

1.1.5 設定ボタンのコーディング(JVSetUIProperties)

Sample2では設定ボタンをクリックすることによってJVSetUIPropertiesインターフェースを呼び出し、JVLinkコントロールが持つ設定ダイアログを起動します。

Button1のClickイベントハンドラに以下のコードを記述します。

サンプルソース1

//--------------------------------------------------------------------
// 設定ボタンクリック時の処理
//--------------------------------------------------------------------
private: System::Void button1_Click(System::Object^ sender,System::EventArgs^ e)
{
  //JVSetUIPropertiesの呼出し
    if (m_jvlink1->JVSetUIProperties() == -100){
    //レジストリへの登録に失敗すると-100が返る
        MessageBox::Show( "エラーのためJV-Linkの設定に失敗しました。");
    }
}

サンプルソース1解説

① JVSetUIPropertiesを呼び出した結果が-100の場合は設定が何らかのエラーでレジストリに反映できなかったことを示します。

1.1.6 初期化/終了処理のコーディング

初期化処理として以下の処理を、フォーム読込イベントで行います。

処理 内容
①JVLinkの初期化(JVInit) JVLinkの初期化を行います。JVWatchEventを呼び出す前に最低1回呼び出す必要があります。
②イベント通知開始(JVWatchEvent) 確定・変更情報が発生した際、イベントを通知するスレッドを開始します。

終了処理として以下の処理を、フォームクローズイベントで行います。

処理 内容
①イベント通知終了(JVWatchEventClose) イベント通知スレッドを終了します。

デザイン画面を表示し、sample2Formの「プロパティ」から「イベント」ボタンを押し、「Load」の関数名入力部分をダブルクリックすると「sample2Form.h」にイベント関数が作成されますので、それに対して初期化処理のコードを記述していきます。
同様に「FormClosed」の関数名入力部分をダブルクリックしてイベント関数を作成し、終了処理のコードを記述していきます。

sample2FormのLoad/Closedイベント関数に以下のコードを記述します。

サンプルソース2

//------------------------------------------------------------------------------
//      フォーム読込
//------------------------------------------------------------------------------
private: System::Void sample2Form_Load(System::Object^  sender, System::EventArgs^  e) {
    //**********************
    //JVInit処理
    //**********************
    int ReturnCode = m_jvlink1->JVInit("UNKNOWN");

    //エラー判定
    if(ReturnCode != 0){           //エラー
        m_strOut->AppendText("JVInitエラー:" + ReturnCode + Environment::NewLine);
    }
    else{                           //正常
        // イベント監視オブジェクト初期化
        ReturnCode = m_jvlink1->JVWatchEvent();

        //エラー判定
        if (ReturnCode != 0){           //エラー
            m_strOut->AppendText("JVWatchEventエラー:" + ReturnCode + Environment::NewLine);
        }
    }
}

//------------------------------------------------------------------------------
//      フォーム閉じる
//------------------------------------------------------------------------------
private: System::Void sample2Form_FormClosed(System::Object^  sender, System::Windows::Forms::FormClosedEventArgs^  e) {
    // イベント監視処理終了
    int ReturnCode = m_jvlink1->JVWatchEventClose();
}

サンプルソース2解説

① JVInitにはアプリケーションIDを渡します。このアプリケーションIDはサーバーとの通信の際にHTTPヘッダーのUser-Agentとして使用されます。ソフトの名前とバージョン番号を組み合わせてユニークなIDを指定して下さい。開発途中でアプリケーションIDを決められない場合には“UNKNOWN”を指定して下さい。

② イベント通知開始をおこなうことで、それ以降に払戻確定、騎手変更、天候馬場状態変更、コース変更、出走取消・競走除外、発走時刻変更、馬体重が発表された際、イベントを受理することが可能になります。

③イベント受信処理を終了する場合にJVWatchEventCloseを呼び出します。
今回のサンプルではフォームを閉じる時(プログラムが終了する時)に呼び出しています。

1.1.7 イベント受信処理のコーディング

各イベントに対してのイベント関数を作成することにより、対象イベントが発生した際の処理をコーディングすることが可能となります。

ここではサンプルとして、払戻確定イベントが発生した際のコードを載せますが、それ以外のイベントも作り方は同じです。

デザイン画面を表示し、m_jvlink1の「プロパティ」から「イベント」ボタンを押し、「JVEvtPay」の関数名入力部分をダブルクリックすると「sample2Form.h」にイベント関数が作成されますので、それに対してコードを記述していきます。

m_jvlink1のJVEvtPayイベント関数に以下のコードを記述し
さらに読み込み&表示処理の関数を作成します。

このサンプルでは、イベントが発生した元となるデータを取得し画面に表示しています。

処理 内容
①リアルタイム系データの取得要求(JVRTOpen) リアルタイム系データの取得要求をします。
②JV-Data の読み込み(JVRead) JV-Data の読み込みをします。
③JV-Data 読み込み処理の終了(JVClose) JV-Data 読み込み処理の終了をします。

サンプルソース3

//------------------------------------------------------------------------------
//      払戻速報
//------------------------------------------------------------------------------
private: System::Void m_jvlink1_JVEvtPay(System::Object^  sender, AxJVDTLabLib::_IJVLinkEvents_JVEvtPayEvent^  e) {
    MessageBox::Show("払戻速報:" + e->bstr, Text);

    int ReturnCode = m_jvlink1->JVRTOpen("0B12", e->bstr);
    if (ReturnCode != 0){
        m_strOut->AppendText("JVRTOpenエラー:" + ReturnCode + Environment::NewLine);
    }
    else{
        m_strOut->AppendText("【速報レース情報(払戻速報) dataspec = " + "0B12" + " key = " + e->bstr + "】" + Environment::NewLine);

        // 読み込み&表示処理
        ReadData();
    }
}

//------------------------------------------------------------------------------
//      読み込み&表示処理
//------------------------------------------------------------------------------
private: void ReadData(void)
{
    int buffSize = 150000;
    String^  buff;
    String^  fName;
    int ReturnCode;

    while((ReturnCode = m_jvlink1->JVRead(buff, buffSize, fName)) != 0){
        //正常
        if(ReturnCode > 0){
            m_strOut->AppendText(buff);
        }
        else{
            //エラー
            if(ReturnCode != -1){
                m_strOut->AppendText("JVReadエラー:" + ReturnCode + Environment::NewLine);
                break;
            }
        }
    }

    // JVClose
    ReturnCode = m_jvlink1->JVClose();
}

サンプルソース3解説

① イベント発生元となったリアルタイム系データの取得要求をします。
第1パラメータはイベント毎に決まっている「データ種別ID」です。
詳細については「JV-Linkインターフェース仕様書」を参照して下さい。

② JVRTOpen で準備した JV-Data を現在のファイルポインタから1行分読み出します。
正の数が返された場合は、正常にレコードを読み込んでいるので(文末に改行コード付)
データ格納バッファを画面にそのまま表示します。
-1が返された場合は、読込対象ファイルの変更を意味しているので、何もせず次のデータを読み込みにいきます。
全てのファイルを読み終わると0が返りますので、読み込みループを終了します。
エラーが発生した場合にはエラーの理由コードとして負の数が返されます。
JVReadではなくJVGetsを使って読み出すことも可能です。

③ JV-Data読み込み処理を終了します。

1.1.8 ビルド&実行

メニューバーのビルド(B)→ソリューションのビルド(B)を選択します。

以上でSample2の開発は終了です。ビルドによって作成された.exeファイルをダブルクリックするかデバッグコマンドにより実行が可能です。

実際にイベントを発生させて、その動作を検証するにはDataLab検証ツールを使います。
(DataLab検証ツールはJRA-VANのホームページの「プログラミングパーツ・開発支援ツール
提供コーナー」にありますので、ダウンロードしてください。)

DataLab検証ツールのインストール及び詳しい使用方法に関しては、DataLab検証ツール説明書を参照してください。

今回サンプルソースで作成した、払戻確定イベントを発生させるには以下の様に操作します。

① DataLab検証ツールを起動します。

② 「速報系」ボタンをクリックします。

③ 年月日場レースを入力し、「イベントを通知する」をチェックし、「擬似通知(払戻)」をクリックします。

④ 払戻結果がSample2に表示されます。
DataLab検証ツールと同じデータが表示されていることを確認してください。

補足説明:

下記のビルドエラーが発生した場合、次の手順を実施してください。

Visual Studio Installerを起動し、ダウンロードを完了させてください。

「変更(M)」ボタンをクリックします。

変更画面にて「個別のコンポーネント」タブを選択し、右側の「C++によるデスクトップ開発」のツリーを展開してください。

「x64/x86用MSVCビルドツール(最新)」の項目にチェックをし、右下の「変更(M)」ボタンをクリックしてインストールを実行してください。

インストール完了後、再度プロジェクトを起動しビルドを再実施し、問題なくビルドが完了することを確認してください。